tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

Network

グラフのラプラシアンの復習

昔やっていたことを復習して、今関心を持っていることに結びつける。点と線からなるグラフGについて、隣接行列をA、対角成分に点の次数を並べた行列をDとすると、D−Aを組み合わせ論的なGのラプラシアンという。 Gをn個の点からなるとき、i 番目の点…

7つの課題

情報処理学会の学会誌に複雑ネットワーク科学が小特集されていた。去年のサマースクールでのパネル討論が収録されていて、面白かった。そこで『Network Science』からのネットワーク科学における7つの重要な課題が紹介されていたのでメモ。 空間上の伝搬な…

Pajek + R でお手軽スケールフリーシミュレーション

久しぶりに Pajek で遊んでみる。ネットワークの可視化ツールとしてデファクトだけれども、簡単なシミュレーションもできる。もちろん大規模のものを何度も繰り返す場合はマクロを書いたりしなければならないので面倒だけれども、本に載っている例をちょっと…

「弱い紐帯の強さ」の「弱さ」と「強さ」

1973年にグラノベッターが有名な「弱い紐帯の強さ」の理論を発表した。紐帯とは、人と人との関係のことを言う。ここでいう「弱い」とは、人と人との親密さ、接触頻度が小さいという意味で、一方「強さ」とはグラノベッターの理論の場合には、有効な職あき情…

関東社会学会で発表

「複雑ネットワークの生成過程のシミュレーション分析」という題で、最近関心を持っていることをまとめて話させていただきました。発表する機会をくださった秋吉先生に感謝。発表原稿でも、伝えたかったことまでうまく話をつなげることができませんでした。…

局所的にクラスタ化されたネットワークのボナチッチの中心性

ボナチッチの中心性指標とは、グラフでいうところの隣接行列の最大固有値の固有ベクトルのことである。隣接行列の代わりに相関係数行列を考えたときの第一主成分といえば統計の人にはわかりやすいかな?社会科学では、これをネットワークの「中心性」の指標…

クラスタ化するネットワーク

ワッツのスモールワールドモデル(いわゆるベータモデル)では、クラスタ係数の高いレギュラーグラフからランダムな変形を施してショートカットを作ってスモールワールドな性質を導き出している。面白い性質を持つ静的なネットワークを作るという意味では非…

highest betweenness

ネットワークにおいて、ノードをいくつかのグループ(クラスタ)に分割するための手法として、リンク(辺)の betweenness を使うのがある。betweenness とは、すべてのノード(頂点)のペアについての最短経路が何回そのリンクを通るかというもの。密接に結…

ワッツ・ストロガッツモデルよりもクラスタ係数が大きくて、平均距離が小さいグラフ

シミュレーションで遊んでいるうちに見つけてしまいました。画像を見てください。 もちろん頂点の数、辺の数の総数は固定した条件の下でのワッツ・ストロガッツモデルとの比較です。コンフィギュレーションモデルのようなアプリオリな構成ではなくて、ワッツ…

スモールワールドネットワークの平均到達距離とクラスタ係数

プロットしてみた。たくさん点があるのは、ワッツ・ストロガッツのシミュレーションにおいて、辺を付け替える確率を少しずつ変えてみた結果である。明らかに何かの曲線にフィットしているのだろうけど、どういう曲線だろう??双曲線関数に似ているが、べき…

複雑な世界、単純な法則

複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線作者: マーク・ブキャナン,阪本芳久出版社/メーカー: 草思社発売日: 2005/02/25メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 179回この商品を含むブログ (151件) を見る科学ジャーナリストが書いた複雑ネットワー…

JUNG と Pajek

グラフ可視化ツール Pajek で遊んでいたら、JUNG に Pajek NET 形式の Reader / Writer 機能が実装されていることに気づき、自作のプログラムから出力して Pajek で表示してみる。Pajek は可視化だけでなくグラフに関する解析もかなりのことはできてしまう。…

系を特徴付ける尺度

コメントが付いていたので、がんばって説明してみる。本当はネットワークの話で説明すべきなのだけど、ネットワークの次数分布の話にすりかえます。つまり分布を特徴付ける量がスケールに無関係だということを言えればいいかな?正規分布を特徴付けるのは平…

CNET の先端研 blog でスケールフリーネットワークが紹介されている

http://blog.japan.cnet.com/sentan/archives/002672.html影響力の強い CNET でスケールフリーネットワークが取り上げられているのはうれしいことなのだと思うけど、スケールフリーネットワークの「定義」とバラバシ・アルバートのモデルをごっちゃにしてい…

シミュレータを統合してみた

スケールフリーネットワークシミュレータ(統合版) BAモデルもWSモデルもひとつのプログラムでシミュレートできます。BAモデルで次数分布を対数表示にしてシミュレートするときれいに直線状に並ぶのが見えます。自作のスケールフリーネットワークのモ…

スモールワールドシミュレータ改良

ノード数とリンク数を可変にして、クラスター係数を求めるようにしました。「社会を<モデル>でみる」に載っていることはこれでできるはずです。 追記 スケールフリーネットワークシミュレータと統合したので、今後はこちらを使ってみてください。スケール…

向きをつけてスケールフリーネットワークになるかどうか

リンクに向きをつけるようにスケールフリーシミュレータを改造してみました。スケールフリーシミュレータ(向きつき)矢印を表示するので少し見にくいですが、何度かリンクの付け替えをしてみてください(一度に50回行うようにしています)。特定のノードに…

スケールフリーシミュレータ

以前作った Barabasi Albert のシミュレータは大きなミスをしていました。直したので、新しいのでもう一度お試しください。今回は新たに頂点を追加するのではなく、リンクを付け替えるだけで、スケールフリーネットワークができるのではないかと予想し、それ…

バラバシ・アルバートのシミュレータをJUNG版で作り直す

バラバシ・アルバートシミュレータ(JUNG版) ワッツ・ストロガッツのスモールワールドシミュレータに続いて、バラバシ・アルバートのスケールフリーネットワークのシミュレータも作り直してみた。隣接行列を固定せずに作ったため、頂点の追加個数の制限がな…

JUNGを利用してスモールワールドシミュレータを作り直してみた。

JUNG とは the University of California のコンピュータサイエンス専攻の大学院生が作った Java のネットワークとグラフ理論のための汎用フレームワークです。視覚化はそれほど多機能ではない、といっても私の用途には十分。シミュレーションで遊ぶためのア…

クラスター化された場合のスモールワールドネットワーク

構成員が強くクラスター化されている場合、例えば学校、住んでいる国、など同じクラスター内では関係を持つ可能性が高いが、異なるクラスターの構成要素とは関係を持つ可能性が少ないネットワークを考える。このとき、「ケビンベーコンゲーム」をすると、ク…

ネットワークのクラスター度について

詳しくは「複雑ネットワークの科学」を見てもらえればいいんだけど、例えば知り合い関係のネットワークの場合、自分の知り合い同士が知り合いである確率のこと。つまり、自分の知り合いがA,B,C,Dだとすると、AとB、AとC、AとD、BとCなどの(…

バラバシ&アルバートのスケールフリーネットワークシミュレータ

スモールワールドシミュレータを改造して作ってみました。 Barabasi Albert Simulator頂点を無限に追加していくモデルなので、まともにやると大変だから、仮に頂点100個まで計算するとして、円周上に並べた点を順に追加することにする。既にあるグラフの頂点…

Watts & Strogatz のスモールワールドシミュレータ

日曜日の暇つぶしに作ってみました。所要4時間。開発系の日記の方に置いておきます。Watts Storogatz Simulator 今回はノード間距離の平均しか計算していないが、もっといろいろなものを計算しないとよくわからないなあ。単純に乱数でリンクを付け替えてい…

リンクの掛け替えはどのようなときに起こるのか

#コメントたくさんついたので、項を改めてみます。 「社会を<モデル>でみる」によると、ワッツとストロガッツのスモールワールド現象に関するシミュレーションモデルは 初期状態(レギュラーグラフ)はN個のノードが円周上に等間隔に配置され、全てのノー…

株式保有と知人のネットワークは違う

ちょうど村上ファンドの阪神電鉄株大量保有のニュースをやっていて、株式保有ネットワークについてつらつら考えてみた。 株式保有の場合はもちろんどちらがどちらを買ったかと言う意味でリンクに向きがある。さらに発行株式のうちの何%を買ったかと言う重み…