デジタルが変える放送と教育
デジタルが変える放送と教育 (丸善ライブラリー―情報研シリーズ)
- 作者: 曽根原登,丸山勝巳,新井紀子,山本毅雄
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 2005/09
- メディア: 新書
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
国立情報学研究所の市民講座の内容をまとめたもの。一般市民向けなので、堅苦しくなく、非常にわかりやすい。物足りなさもないとは言えないが。内容はデジタル放送、e-ラーニング、オープンソース、デジタル・アーカイブの4部構成。
デジタル放送
現在の放送通信のインフラの現状、デジタル財の性質、問題点などの説明。通信、放送、WWW、PtoPなどの異なる接続形態を持つシステムが融合していくこと、システムよりもコンテンツが重要になってくること、そのためにメタデータが重要な役割を果たすこと、デジタル権利管理が必要、などの意見には同感。というかむしろこの問題を考える上での常識に近いものがあるかもしれない。その上でコンテンツビジネスをどう守るか、メタデータをどのように共通化させて流通させるか、デジタル権利管理のためにはどういう技術を使えばよいか、などの議論の一端も紹介されている(ちょっと物足りないけど)。みんなが情報発信すれば、強制していくネット社会になるよ、というのはどうだろ?もうなっているのかもしれないし、まだまだそんなに無邪気に楽観的にはなれない気もする。
e-ラーニング
システム先行になりがちなe-ラーニングに対し、ニーズを見直すべきだと言う問題提起(深く肯いてしまった!)をしている。どのような運営がうまくいくのか模索している中、参考になりそうな事例をいくつか紹介して、結局は「人」と言うコンテンツが価値を生み、ソーシャル・キャピタルを高める結果につながる、とのこと。
アメリカでやっているから、大学の広告のため、学生と教員の管理のため、と言った理由でトップダウンでe-ラーニングが導入されて、それに対応せざるを得なくなって、教員の時間が無駄に消費されてしまったような場合、新しいものを導入するコストだと言えなくもないが、教育の現場で使うものはやはり学生のニーズや教員からのボトムアップで導入しないと、関係者みんな不幸になるだろうな。(もちろんフィクションです:笑)
オープンソース
オープンソースの定義と歴史をストールマン氏とトーバルズ氏らの業績を紹介しながら説明。オープンソースとビジネスの関わり方についての説明。どれも業界の人間にとっては常識レベルの話。
私見ですが、オープンソースなどのソフトウェアに関する思想的なことで変化が起こるのは、それに関わる人の世代が変わらなければダメかな、と思っています。
デジタル・アーカイブ
定義と事例集。