社会を<モデル>でみる
- 作者: 日本数理社会学会,土場学,佐藤嘉倫,数土直紀,小林盾,渡辺勉,三隅一人
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2004/03
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 32回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
数学の方の人間から見ると、いろいろなテーマが4ページずつでまとまっていて、社会科学現象のモデルをどう作るか、結果をどのように解釈するのかを知ることができる面白い本。数学がこんな風に使えるんだよ、というネタ本。道具はゲーム理論、確率(マルコフ過程)、グラフ理論、微分方程式(力学系)ぐらいで、理数系の学部卒以上ならそれほど難しくはないだろう。それよりも目の付け所というかテーマの選び方がよく、シンプルな道具で面白い結果(特に直感と異なる結論やパラドックスなど)を出している。
数学者の立場で書かれた社会科学への応用本みたいなのはあったと思うけど、ありきたりで言い古された話題が多く、どの本読んでも同じ(というか新たなネタは仕入れられなかった)だったので、大変知的好奇心を刺激させられました。
位置づけとしてはたぶん数理社会学会が自らの分野を宣伝するために編集したような感じかな。ところどころ道具の濫用と感じられることころや、解説が初等的だったり専門的だったりと担当の著者でレベルが一定でなかったりするけど、全体として雰囲気はつかめるし、テーマごとに読みやすく、その後の研究の指針も書いてあるのでガイドブックとしていい本。学生にひとつずつ説明させるようなセミナーをしたら面白いだろうなあ。卒論指導は楽できそう。