tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

「分かりやすい表現」の技術

ここで言う表現とは文章に限らず、図表やレイアウトの方法なども含めた広い意味の表現。案内板、取扱説明書、法律の条文など世の中に蔓延する分かりにくい表現を斬り、そこをどう直せばよいかの指針を与える。こういう技術も学校では教えられない割には社会では必要とされるものの代表例だろう。

単純なハウツウではなく、まず「分かりやすい」という状態の分析、「分かりにくい表現」の原因を分析した後、どういう表現が分かり易いかの処方箋を与えている。こういう題名の本で、それ自身が分かりにくければ洒落にならないが、さすがにそんなことはなく、非常に整理されていて、説明文のお手本みたいな本。

最後の「分かりやすい表現」のルールブックとしては

  • おもてなしの心を持て。
  • 「受け手」のプロフィールを設定せよ。
  • 「受け手」の熱意を見極めよ。
  • 大前提の説明を忘れるな。

など全部で16のルールを挙げている。特に大前提の説明はつい忘れがちになるので注意しなくては。こちらが情報の受け手になるときには気がついても、発信する側になると見えなくなってしまう。まさに「分かり過ぎて分からない」「知れば知るほど失われるもの」である。

初心者にとっての最高の先生は初心者を脱したばかりの人、いうのは納得。日本だと逆に教養教育は経験豊富なベテランの先生が教えると言うことが多いと思うが、知らなかった状態をまだ覚えている若手の方がいいのかもしれない。準備が大変なのは承知の上だが、専門以外の科目を担当すると言うことは、教員にとっても生徒にとってもハッピーなのかもしれない。