新ネットワーク思考
- 作者: アルバート・ラズロ・バラバシ,青木薫
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2002/12/26
- メディア: 単行本
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たぶん私は読む順番を間違えた。この本を最初に読んでおくべきだった、と思う。多くの書物で引用されているし、気にはなっていたのだが。頭の中であいまいだったものはクリアになり、これまでのアイディアがまとめてあるおかげで考える足がかりが得られた。
複雑ネットワークについての最も有名な啓蒙書である。有名な「6次の隔たり」や「スモールワールド」についても紹介してある。これらのトピックについては他の本はこの本の派生かもしれない。ランダムネットワークと複雑ネットワークの違いは非常に詳しく説明されている。アメリカ西部の停電事故、コンピュータウイルスの蔓延、細胞内の代謝ネットワーク、アジア通貨危機、などを、複雑ネットワークの上での現象としてそのメカニズムを解明していく。そしてインターネット自身の構造も。これらの根底にあるもの、いわゆるベキ法則や、スケールフリーネットワークが科学者のおもちゃではなく、挑戦すべき価値のある研究対象であることを熱く語っている。読み進むにつれこちらも知的興奮する。
最も面白いと思ったのは
- ネットワークとボーズ気体の類似性
- スケールフリーネットワーク上ではウイルスが拡散するかどうかの閾値がない
の2点。この2点は他の性質と違って自明でない。かつ驚くべき性質。これらが制御できると面白いだろうなあ。