tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

コンテンツ消滅

コンテンツ消滅 音楽・ゲーム・アニメ ペーパーバックス

コンテンツ消滅 音楽・ゲーム・アニメ ペーパーバックス

実は光文社のペーパーバックスは初めて読む。かなり特徴があるが、なんといっても横書きで、ところどころ英語表現を併記している試みは面白い。慣用句や専門用語の英語での表現が脚注ではなく本文中に書いてあり、関連する英語の文献を読むときの単語の予習になる。この試みは評価。


内容はコンテンツ産業(特に日本の)がネットの繁栄による構造変化を余儀なくされ、そこから来る様々な問題点を整理し、産業としてのあり方、知財の問題などをコンパクトにまとめている。よく調べてあるな、という印象。

第1章はいわゆるファイル共有がもとらす問題。あるビジネスの失敗例を通じて、ビジネスにしようとした人の甘さ、コンテンツ産業の閉鎖的な姿勢、などが浮き彫りに。ファイル共有サービスから何が生まれるかを考えずに、敵対して悪者扱いして排除しようとする業界の姿勢を問題視している。この本が書かれたときと比べて現在はちょっと風向きが変わってきたかもしれないけど。

第2章はゲーム産業の抱える問題。インベーダーゲームの開発物語から現在のオンラインゲームでの財産売買の話まで。第3章は音楽産業、第4章はアニメ産業の話。CDの売り上げがレコード会社にとって小売業界の保護や新しいアーティストの発掘などの費用にも使われてきた産業構造のもと、配信だけをネットで置き換えることに抵抗があるのがありありとわかる。結局Appleのような外から参入するところが産業構造を変えていくしかないんだろうな。

国の政策としてコンテンツ重視などが叫ばれているけど、それってアニメやゲームで育った世代がそういう意思決定を行う年代になったということで、成長産業じゃなくて、保護産業になったのかもしれないですね。