tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

科学的思考とは何だろうか

科学的思考とは何だろうか (ちくま新書)

科学的思考とは何だろうか (ちくま新書)

副題に「ものつくりの視点から」とある。エンジニアの立場からサイエンスを考えるのは面白そうと思って買ったのだが、それには裏切られた。現場のエンジニアの感覚はまったくない。変な副題をつけないでほしい。これは科学思想史の本である。

最初はギリシア時代のタレスとアナクシマンドロスの話。彼らの残した書物の結果だけを現代の科学から見れば、見当はずれの議論と思われるが、その当時の知識や観察された現象から考えると、極めて合理的であるということ。

次はガリレオの有名な『二大世界体系』(普通は『天文対話』として知られている)の読み解き。地動説と相対運動が密接な関係を持っていることなど。この章は結構面白い。

最後が科学と宗教の話、酸が「酸素」ではなく「水素イオンの放出」が原因であるという説をそれぞれの立場の人間がどのように受け入れていくか、という思考実験。一次元の針金世界を比喩にして、そこにいる人間には感じることのできない見方があるということの説明、など。

科学史における切り口としては新しいのかもしれないけど、全体的に話がくどい。忙しい時に読む本じゃなかった。最後のほうの相対論の図による説明は簡潔でよかったのに。

長期休暇のときに読み返してみようかな。