萌え経済学
- 作者: 森永卓郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/10/30
- メディア: 単行本
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森永先生の話題の本。表紙がかなり恥ずかしい。
「もえたん」みたいな萌えキャラを使った経済学の解説かと思っていたら、萌え産業の結構まじめな分析でした。著者の定義によると「萌え」とは『アニメなどのキャラクターに恋をすること』とある(実際はもっと広義の意味で使われていると私は思うが、書籍中はこの狭義の「萌え」として読んだ)。「萌え」の供給側の要因分析として、漫画やアニメの恋愛描写の進化によって登場人物に恋をしやすくなったこと、需要側の要因分析として、恋愛の市場での敗者の解脱状態としての萌えの選択を挙げている。極論ではあるが、ある一面は捉えているんじゃないかな。しかし解脱か。言いえて妙。
ロールプレイビジネスという視点で萌え産業を分析しているが、ディズニーリゾートが萌えの原点だという指摘は鋭い。
後半は萌え論というよりも、産業構造論。価値観が多様化し、成長産業がない現在の日本経済に、高付加価値を生み出すのは需要が飽和しないコレクション市場、芸術・文化市場、恋愛市場、だとしてそれぞれのモデルケースを紹介。
最後は萌えに関連してオークションサイトや共同購入サイトの分析。共同購入によって大量生産品と希少品の中間の中ロット中コストの市場が開拓されたという指摘は面白い。