権力の計量
- 作者: 松原望
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2004/05
- メディア: 単行本
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「社会を読みとく数理トレーニング」を読んでいました。最終章に、権力を「可能性を狭めるメカニズム」とするいくつかの解釈が紹介されていました。面白いです。
Dahl による定義:条件付確率の変化高
行為者AがBに対して、行為x,yに関して、有する権力の量を
π=P(B does y | A does x ) - P(B does y | A does not x)
で定義した。このとき、
- π>0 の時に、Bの行為選択のエントロピーは減少する。
- πはBの選択をAの選択から統計的に予測する時の回帰直線の傾きという意味を持つ
- Aの選択の下でのBの選択の分散は減少する。
という性質が成り立つ。
これは2者の間の関係を計量するものだけれど、行為の確率分布を変更させるものという視点は面白い。
集団行動で行為がコヒーレント*1するような場合の、確率分布が変化する量をうまく計量する方法はないかな?株式市場で市場参加者がトレンドにあわせて同じような投資行動をとってしまう場合、エントロピーが減少していると思うんだけど、それを「マーケットの権力」みたいな形で定義することは可能なのかな?誰かがやっているかな?
選択肢が制限されることで一般には効用は減少すると思うけど、あまり減少しない場合は「良い権力者」と言ってもいいのかな?選択のための情報収集のコストよりも、権力による効用の減少の方が小さければ、権力に従ったほうが楽という結論も出そう。
*1:干渉しやすい波というのが元の意味。ここでは波長や位相がそろっているという意味で、周りと行動をあわせていることの比喩で使った。あまり良くない比喩?