tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

人文・社会科学の統計学

人文・社会科学の統計学 (基礎統計学)

人文・社会科学の統計学 (基礎統計学)

東京大学出版会から出ている基礎統計学シリーズの1冊。たぶん東大での教科書。社会科学における調査の仕方、データの分析の仕方など基本的なところが網羅的に紹介されている。国の機関や研究者の論文などで発表される統計データを読むときに、基礎知識や用語を調べるのに重宝する。この本は研究者を目指す人、統計の実務家向けに書いてあるので、教科書とは言っても結構高度なことにも触れてある。逆に言えばリテラシー的な統計データの読み方を勉強したいのなら別の本のほうが良い。

多くの頁が割かれているのは、サンプリングの取り方、様々な指標とその計算方法、誤差及び信頼性などについての議論の方法、現象を説明する様々な統計モデルの紹介、など。経済分析で基本となる回帰分析と時系列分析については特に詳しい。


社会調査の場合には対象をコード化(階層化)することが必要になってくると思うが、統計学ではコード化したあとの処理(関連性の分析、階層間の関係の分析など)が研究対象になるみたい。例えばホワイトカラーとブルーカラーの間の階層移動の分析例などが載っていたのだが、私としては、コード化、つまり、そのカテゴリーをどのように分けるのか、ということにも関心があるのだけれど。そういう前処理的なものは統計学ではなくて、別の分野になるのかな?