「複雑ネットワーク」とは何か
「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ (ブルーバックス)
- 作者: 増田直紀,今野紀雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02/21
- メディア: 新書
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「複雑ネットワークの科学」の著者による入門編のブルーバックス。数式などの精緻な議論をしているわけではないので、さらりと読める。面白さのポイント(スモールワールドネットワークなど)は外していないので、この分野の面白さを手軽に紹介したい時に、このブルーバックスを薦めるとちょうどよい。宴会ゲームでネットワークのショートカットの面白さを説明しているのは、うまいなあ。
といっても、知っている話ばかりではなく、他の本にはあまり載っていない話もちゃんとある。
バラバシ・アルバート以外のスケールフリーネットワークのモデルとして、木型のスケールフリーネットワークである一般化ランダムネットワーク(木の枝が成長していく様子に似たモデルで、新しい枝の本数の分布が次数分布に従うように作る)、頂点の数を決めてスケールフリーネットワークを作るコンフィギュレーションモデル。どちらも次数分布をあらかじめ与えて、それを満たすようにネットワークを作ると言うやり方なので、あまり自然ではない気もするが。
リンクで結びついているノードの次数の間の相関を調べた次数相関について、工学関係のネットワーク、生物系のネットワークでは負の次数相関、人間関係のネットワークでは正の次数相関、ランダムグラフ、スモールワールドモデル、バラバシ・アルバートモデルでは、次数相関がゼロになると言う面白い結果も紹介されている。
一番興味を持ったのはコミュニティ。といっても人間関係の話ではなく、ネットワークにおけるノードのグループ化の話。以前グラフの縮退の問題を考えたこともあるので、コミュニティを自動同定するための数量化の方法などに興味を持ったのでした。*1
*1:昨日の日記に書いた階層間の移動の話と結びつかないかな??