tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

クリティカルシンキング(入門編)

クリティカルシンキング (入門篇)

クリティカルシンキング (入門篇)

  • 作者: E.B.ゼックミスタ,J.E.ジョンソン,宮元博章,道田泰司,谷口高士,菊池聡
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 1996/09
  • メディア: 単行本
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だいぶ前に教えてもらって、読もう読もうと思っていた本。


クリティカルな思考とは「適切な基準や根拠に基づく、論理的で、偏りのない思考」のこと。この本はクリティカルな思考をを伸ばすためのいくつかの原則を挙げて、身近な例題を基に考え方のトレーニングをするためのもの。日本の教育は知識偏重な傾向があるが、詰め込み教育の反動は教養教育だったり、ゆとり教育だったりするので、いずれにせよこういう思考法の訓練を受けることはあまりない。大学初年級の基礎セミナーみたいなものは、高校の補習や先取りしすぎの就職試験対策なんかよりも、こういう思考法の訓練をした方がいいんじゃないかな。でも教えられる人がいないのか。


本の内容は、物事の原因を推測するための方法、他人の行動を説明するための方法、自分自身を省察するための方法、信念を分析するための方法の解説。人はどのようにして偏った見方をしてしまうか、それをふまえて別の見方を排除せずにいろいろな可能性を考えることの重要性が、一貫した主張になっている。いくつか覚えておきたいクリシン原則を引用。

  • 共変関係は、それだけでは因果関係を意味しない。共変のみを根拠に因果関係を結論付けてはならない。
  • 他に促進的に見える要因があると本来の原因の重要性が割り引かれ、逆に、他に抑制的に見える要因があると原因の重要性が実際以上に割り増しされがちであることに注意せよ。
  • 自分の原因帰属が間違っている可能性があると言うことを、常に忘れるな。
  • 自分の判断や決定が誤りだったことを認めたくないために、合理化により真実から目をそむけている可能性に留意せよ。
  • われわれはどれだけの実例を思いつけるかによって出来事の生起確率を判断する利用可能性ヒューリスティクスを使う。自分の利用可能な情報に偏りがないかどうかに注意せよ。
  • 人は自分が期待している通りにものごとを見てしまう傾向がある。

統計や確率の分野での誤解や濫用については、今まで意識していた部分もあったが、他人の行動や自分の意識を分析するための心理学的な話は今まであまり意識していなかったかも。物事を単純に考えてしまいがちなこと、自分を正当化するようなバイアスがかかってしまいがちなこと。わかってはいても難しい。

でも、あんまりやりすぎると、人の判断にいちいち茶々を入れる揚げ足取りな人になってしまいそうです。