tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

他人を見下す若者たち

他人を見下す若者たち (講談社現代新書)

他人を見下す若者たち (講談社現代新書)

友人に薦められて読む。

現代の若者の感情ややる気の変化、とくに「他人を見下す」傾向を『仮想的有能感』という概念で説明しようとしているが、どうもピンと来ない。いくつかの調査や多数の引用があるが、どれもあらかじめ導きたい仮説に対して都合のいいものを検証なしに使っているように思えてあまり共感を覚えなかった。筆者と同じ意見の新書や雑誌の記事の中の一文だけをいくら集めても、前後の文脈もわからないし、反対意見があるのかどうかすらわからない。


自分を肯定しようとするのは、人間の根源的な性質のように思えるし、若者が世間知らずで向こう見ずで理想主義者なのは、何もこの時代に限ったことではなく、いつの時代にも共通して見られることなのではないか。それがどのように表現されるかは、時代や環境、国によって違うのは当たり前。ことさらに生活環境の変化や情報化社会に原因を求めているのは無理があるのでは?それを「危機」にしたてあげて「警鐘」を鳴らされても。


世代論は「はずれ」が多い。


心理学の研究ってこんなものなのかな??別に世の中に役に立つ研究、とまでは言わないけど、せっかく新書にするなら知的好奇心が刺激されるような研究(もちろんたくさんあると思う)について書いてほしいです。