tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

立体イリュージョンの数理

立体イリュージョンの数理

立体イリュージョンの数理

エッシャーなどに代表されるだまし絵、錯視などの仕組みと作り方を数学的に解説した本。最初の写真にまずびっくり。普通立体のだまし絵というのはエッシャーのように2次元で書かれているけど立体としてはあり得ないような絵のことを言うが、ここではそういう実際にあり得ない図形(不可能物体)を紙工作で作ってしまっている。だから当然3次元。あり得ない方向に棒が刺さっていたり、そこに置くと球が昇っていくように見える滑り台だとか。作れないのに作れるってどういうこと?というのは、遠近法や射影の多義性をうまく使って、パッと見て想像される図形とは違うんだけど、ある視点から見れば、そう見えるものだとか、切れ目が入っているけどある方向から見るとつながって見えて不可能物体に見えるだとか、そういうもの。そういう図形を計算して紙工作用の展開図まで作ってしまう。すごいぞ。

本の内容は、前半が立体視、遠近法の仕組みを数学的に解説。数学的には射影幾何の復習。後半がいわゆる不可能物体の作り方。投影図から立体が表現できるかどうかを線形計画法に帰着させて、数学の問題にしている。面白すぎ。解空間の次元(自由度)に応じて、イリュージョン(錯視)を作ることができたりする。本の最初の写真はそうやって作ったもの。

こういうのをアートに利用した人は、エッシャー福田繁雄が有名みたいですが、立体トリックアートとしてもっと取り上げられてもいいんじゃないかな、と思いました。