クラスタ化するネットワーク
ワッツのスモールワールドモデル(いわゆるベータモデル)では、クラスタ係数の高いレギュラーグラフからランダムな変形を施してショートカットを作ってスモールワールドな性質を導き出している。
面白い性質を持つ静的なネットワークを作るという意味では非常に成功した例で、今日ネットワーク構造に関心が集まるきっかけになったという意味でも意義深いと思う。でも
- 初期状態の規則的なグラフが天賦のものとして与えられていること
- 変形(リンクの付け替え)に対して定常的でない(同じ操作を繰り返していくとランダムなネットワークになりいい性質は失われる)
という点はあまりうれしくない。
スモールワールド的ではないのだけれど、ある変形を繰り返すと頂点がいくつかの高いクラスター度を持つグループに分かれるようなものを考えてみた。ある変形というのは、辺の付け替えをランダムではなく、局所的にクラスタ変数が大きくなるように選ぶというもの。
比喩的にいうと、自分の今の友達とすでに友達である人と友達となりやすい、ということだから、直感的には当たり前。学校のクラスで自然と生徒の間にグループができるということをシミュレーションで証明したことになる、かな。
初期状態のグラフはなんでも良く、ある程度グループ化されると、同じ変形を行ってもほとんど変化しない(というかそれ以上局所的にクラスタ係数が大きくできない状態になる)という意味で定常状態に落ち着く。