反社会学の不埒な研究報告
- 作者: パオロ・マッツァリーノ
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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前作「反社会学講座」に比べて、「なんでもアリ」度が高まっている分、逆に切れ味はちょっと鈍ったかもしれない。落語やコントにも挑戦していて、それなりの出来ではあるが、やはり統計おちょくり系が一番の真骨頂だと思う。でも全体的に面白いことには変わりはない。
『経済学は無慈悲なお約束の女王』での実質GDPに関する予測や統計をおちょくっているのが最高。「不突合」が1%もあるなんてことは知りませんでした。もともと経済指標とは比較をするためのもので、計算方法などは単なる「お約束」にすぎないのに、その計算方法にケチをつけたり少子化やニートなどを実質GDPへの影響によって評価しようとするばからしさを、うまくエンターテインメント仕立てで読ませてくれる。
『尊敬されたい!』では社会調査の「ウラ」の読み方を解説する。青少年に対する尊敬に関する意識調査をネタに、調査結果そのものよりも、誰がどうしてこういう調査をしたのか、を考えることの面白さを伝授。尊敬の国際比較調査で比較しているのは、青少年の意識ではなくてむしろ「尊敬」の概念の違いの方だ、という指摘には納得しました。
統計や社会調査は調査や研究する人が都合のいいように使っているということはうすうす感じてはいましたが、この本ではそのナンセンスさを統計を使ってぶった切っているところが良いです。仕事で疲れた頭をクールダウンするのにもってこいの本でした。