tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

小数の法則

確率論における有名な極限定理に「大数の法則」というのがあるが、行動ファイナンスの世界では「小数の法則」というのがあるらしいです。確率論で Poisson 分布に収束するための条件を述べた「少数の法則」とも別もの。小数の法則とは「法則」というよりも人間の心理の錯誤のパターンを述べた経験則。

定まった表現があるのかどうかはよく知らないのだけれど、大数の法則を試行回数が小さいときにも成り立つと錯誤してしまうこと、もしくは平均へ回帰する方向の結果を大きく見積もってしまうこと、などの事を指すようです。

たとえば

  • 正常なコインが5回連続表が出たら、次は裏が出るだろうと思ってしまう
  • 3割バッターが3打数ノーヒットだったら、次はヒットを打つ可能性が高いと思ってしまう
  • 年平均4%値上がりする株価が上半期で8%上がってしまったら、下半期は下がるだろうと思ってしまう

などが挙げられる。


人はすべて合理的な存在だとして、いわゆる「道端にお金は落ちていない」(リスクなしで儲けられる機会はない)とするのが効率性市場仮説である。これについては、情報がいかに価格に反映しているかというのが問題で、ミスプライシングは情報が行き渡っていないだとか、インサイダーなどの違法な手段による情報操作が原因だというのが、主な研究結果だと思っていました。

ところが、最近の行動経済学だと、市場参加者が上記のような錯誤をするものという仮定の下で、どのように価格に反映するのかとか、価格が変動するのかが考えられているようで、なかなか面白い。市場は効率的かそうでないか、という二元論ではなく、効率的でない部分はどれくらいかということを計量できて、評価できるようになるとさらに面白そう*1。そんなことを考えながら、シミュレーションして遊んでいたのでした。

*1:きっとそういう先行研究はあるだろうけど。時間があれば探してみよう。