「数理と社会」
- 作者: 河添健
- 出版社/メーカー: 数学書房
- 発売日: 2007/01
- メディア: 単行本
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慶應義塾大学の文系1年生向けの数学科目のテキスト。教科書らしく、14のテーマがそれぞれ10ページ前後でまとめられている。A4の紙を三つ折するというネタで初等幾何をしたり、ポーカーの役の確率を計算したり、スパムメールの判定法からベイズの定理を紹介したり、最後の方は暗号理論のさわりと、モンテカルロ法、ゲーム理論なども。こう書くと盛りだくさんのように見えるが、高校時代にも数学をあまり勉強してこなかった学生向きらしく、具体例を紹介して話の導入で終わっているのでさらりと読めます。理系には物足りないかも。
ドント方式についても説明されていた*1。よく似た議席配分の方法として、ヘア・ニーマイア方式というドイツやスイスで使われている方法があるらしい。ヘア・ニーマイア方式というのは
- 総得票数を議席数で割ったものを基数とする
- 各政党の得票数を基数で割って整数分を配分する
- 余りの大きさによって残りの議席を配分する
というもの。基数なんて持ち出しているけど、結局は比例配分。一方のドント方式は1議席あたりの票数を最大化するもの、と解釈できる。そのため1議席あたりの票数に満たない小政党は議席を獲得できない、という意味でドント方式はヘア・ニーマイア方式よりも大政党に有利なんだとか。
*1:ここでは説明は省略