tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

まんがパレスチナ問題

まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)

まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)

政治や外交は守備範囲外なのだけれど、面白かったので紹介します。

難解な話題のマンガによる啓蒙書って、地の文をふきだしに入れただけでかえってわかりにくかったり、ギャグをちりばめすぎて何が本質かがわからなくなったりして、失敗しているのが多い中、これは成功していますね。内容を詰め込みすぎずに、かつ大事なところは詳しく解説しているところ、著者がすごくよく勉強しているのがわかります。

人種・民族・部族の概念の違い、キリスト教に比べてユダヤ教がなぜ広がらなかったのか、など漠然としか理解していなかったこともすっきり説明されていたし、オスマン・トルコ帝国の没落後、パレスチナの土地がどのように欧米諸国にもてあそばれてきたのか、についても詳しい。

今は中東問題はアラブとアメリカという対抗軸で理解されているが、ほんの2、30年前は現在反米とみなされている国や組織がアメリカから軍事支援を受けていたりしたのだけれど、その背景(米ソの冷戦構造やアラブ諸国の王政の崩壊など)もわかりやすく説明されている。

物語はパレスチナ人とユダヤ人の少年の対話で進められていき、エピローグで著者なりの平和へ向けてのメッセージを彼ら二人の口から語らせています。