なぜ美人ばかりが得をするのか
- 作者: ナンシーエトコフ,Nancy Etcoff,木村博江
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/12
- メディア: 単行本
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明確に定義できないんだけれど、共通認識を持っている概念は多い。「美人」もその1つだろう。その定義に対して、進化論的・心理学的アプローチをしたのがこの本。過去のさまざまな分野の文献、研究成果から美人に関する議論を紹介している。
赤ん坊も大人が美人だと判定した顔を長く見つめるそうだし、人種が異なっていても、評価に共通する点があるらしい。そういう例を出されると、学習ではなくて本能的に持っている概念かもしれない、と思う。概念的な分析の後は、美人という属性を持つ人と持たない人が、社会においてどういう影響を受けるか。ストレートに分析されると、面白いというよりも、それを言っちゃあ、的な議論。ロマンチックな話を期待してはいけない。その後は髪、肌、顔、ファッションなど各論を展開。複数の顔写真を合成すると、個人の顔よりも魅力的になるそうな。大きすぎず小さすぎず、長すぎず短すぎず、ってことだから、それを魅力的に感じるのは当然のような気もする。
資料を集めて学術的な議論をしているので、どちらかというと退屈な話。豆知識的に面白いエピソードはいろいろちりばめられている。ファッションの話で、悪趣味を恐れるのは中流階級的発想、としているのはちょっと面白い。結論として出てくるものにはそれほど突拍子のあるものではないので、あまり期待しないほうがいいかも。