tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

排出権取引とは何か

排出権取引とは何か (PHPビジネス新書)

排出権取引とは何か (PHPビジネス新書)

洞爺湖サミットは地球温暖化対策が主要議題の一つだったらしいが、結局のところ何か成果のある話が行われた感じはしない(私が勉強不足だけなのかもしれないが)。京都議定書温室効果ガスの削減目標が設定され、それを実現するためのメカニズムとして排出権取引が規定されたが、なんだかよく分からないことが多い。今年に入って急に「エコ」をかかげた商品が増えたのはなぜだろう?

そういう意味で新書でまとめてあるのはありがたい。

以下は要約ではなくて感想。

単純に排出権といっても、いろいろな種類があって、京都議定書で定められた国家間で取引されるCERの他に、EU域内の企業間で取引されるEUAがあるそうだ。後者が排出権取引におけるデファクトになる可能性もあるらしい。そもそもの削減目標の設定値についても日本は不利な条件を飲んだといわれるが、排出権取引の仕組みについても日本が孤立して不利になる可能性もある。

排出権を生み出す際の温室効果ガスの削減量の推定値でさえ、たとえ国際機関の承認を得るものとしても、その妥当性の検証は困難だし、その権利を取引する市場も正しく機能するか(流動性リスクなど)疑わしい。そんな「ナイトの不確実性」があるような仕組みに地球温暖化対策を賭けても大丈夫なんだろうか、というのが素朴な疑問。金融技術の発達がこういう高度な権利の証券化を実現したのだともいえるが、住宅ローン証券化の暴落(サブプライム問題)ですら制御できなかったのだけど。