tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

教育力

教育力 (岩波新書)

教育力 (岩波新書)

斎藤孝の○○力シリーズ。この人も多作な人だけど、人気があるのは言語化したり新しい言葉を作ったりして、読む人の頭を整理するのがうまいからなんだろう。1つ前の日記に書いた、学力低下は錯覚である - tkenichiの日記 みたいに分析するタイプではなくて、現場の人に対するメッセージになっている。

教育はあこがれの伝染、教師も学び続けなくてはならない、教師は上達に関するプロ、出題者の気持ちにならないと勉強はできるようにならない、ポジティブな目標を持たせて習慣を変える、など教育におけるコツのようなものの宝庫。学校教育だけでなくて、企業教育にも、自分自身の研鑽にも役に立つ。

ただし、一つ一つを詳細に見ていくと、著者オリジナルの方法論と言うのがあるわけではなく、どちらかと言うと古典的な方法論をアレンジしたようなものが多い。また、教育システムの設計に関してはほとんど触れていない。あくまで現場主義、と言うのは潔い。

概して、奥義のようなものはこういうものなのだろう。短い言葉で端的に述べられていて、自分も努力して学ぼうとするものにはその意味が見えてくる。そういう意味では、時折読み返して、この本の内容がトリビアルに感じられるようになったら、成長できたと言う、自己研鑽のための基準として使うのもいいかもしれない、そんな本です。