セクシーな数学
- 作者: グレゴリー・J・チャイティン,黒川利明
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/07/30
- メディア: 単行本
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アルゴリズム的情報理論のチャイティン氏のインタビュー・講演をまとめたもの。同じ内容が重複していることも多いけど、インタビュアーとのやり取りの臨場感も感じられるので、変に編集しない方が読み物としては面白い。
ゲーデルの数学基礎論、チューリングの計算機論、量子力学、統計力学、これらのクロスオーバーするところにチャイティン氏の理論はある。こういう今までの数学の限界を超えるメタな理論を構築するのは、限られた才能のある人だけだ。
数学的情報を測ることができて、数学の基礎においてランダム性がある、と言われても最初はなかなか理解できないが、チューリングの停止問題から、停止確率の概念を導き、それを算術化することで「ディオファントス方程式が無限個の解を持つか有限個の解を持つか」がランダム性を持つ、という話は衝撃的。アインシュタインは量子力学に対して「神はサイコロを振らない」と言ったが、それと同じように算術の世界で神がサイコロを振る、なんてことはなかなか受け入れがたいことだけれども、なおさら悪魔的に魅力的で、それがセクシーだということなのだろう。