tkenichi の日記

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マネー資本主義

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NHKスペシャル マネー資本主義―暴走から崩壊への真相

NHKスペシャル マネー資本主義―暴走から崩壊への真相

リーマンショックに端を発したとされる2008年の金融危機について、その背景をインタビューを中心に解説したテレビドキュメントを紹介し、まとめた本である。まえがきにあるように、投資銀行、金融財政政策、ヘッジファンド、金融工学者という4つの切り口から攻めている。競争が激化して、利益を得るためにより複雑な商品を開発してリスクをとって行った投資銀行。強いドル政策、デフレを防ぐための金融緩和を実行した金融政策。利益を出すことを義務付けられた巨大な年金資金をヘッジファンドで運用した年金基金。数学・物理学を金融に応用した、冷戦後にウォール街に大量に流れたロケット科学者達。それぞれを局所的に見ると、それぞれの行動には理由があるが、それらが見えない糸で絡み合って、金融危機を引き起こしたのだろう。明確にその絡み具合を見えるまでには至らないが、それぞれのインタビューから、奥深いところで関係していることは見ることは出来る。

決して原因を探る類のものではないし、テレビドキュメントとしてのシナリオにのっとったインタビューがされている。それを差し置いても、なぜマネーは暴走したのかを再度見直すにはいい資料だと思う。

金融危機が起きて痛い目にあった後も、世界中のどこかで金は余っているだろうし、リスクを測りきれない金融商品は現れるだろうし、年金は利回りを追求するだろう。政治的に介入したり、法的な規制が行われるかもしれないが、あくまでもそれは微調整に過ぎないだろう。またきっとバブルは起こって、そして弾ける。

ソフトウェアのたとえで言うと、システムにバグがあると、暴走しリソースのすべてを食いつぶす。まさにバブルとは資本主義のシステムのバグなのかもしれない。ソフトウェアにバグをなくすことが出来ないのと同様、資本主義もバブルをなくすことは出来ないのかもしれない。それならばデバッグの方法論を考えるのと同様、バブルが弾けたときにどうするのかを考える(グリーンスパンのように)と言うのは、方法としては間違っていないのかもしれない。