tkenichi の日記

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愚かな決定を回避する方法

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愚かな決定を回避する方法―何故リーダーの判断ミスは起きるのか (講談社プラスアルファ新書)

愚かな決定を回避する方法―何故リーダーの判断ミスは起きるのか (講談社プラスアルファ新書)

失敗に焦点当てている本は多い。アプローチとしては大体3つぐらい。失敗の原因を掘り下げていくもの、起こらないようにするにはどうするのかを考えるもの。もうひとつがどういう失敗があるのかを分類するもの。これは、意思決定のミス、特に組織におけるリーダーの判断ミスについて分類をしたもの。

最初はケースとして、航空機墜落事故、タンカーの衝突事故、チャレンジャー号の爆発事故などを挙げて、そのプロセスを概観する。途中に愚かな決定の分析があって、ここも面白いのだけれど、メモしておきたいのは第5章の集団分析である。

愚かな意思決定を分類するために、縦軸に組織の構成、横軸に愚かな結果に対する行動をとり、テーブルにして分類する。組織の構成は

  • リーダー
  • エキスパート
  • 素人

からなり、行動は

  • 生産
  • 要求
  • 追従
  • 不在
  • 反対

からなる。ここで言う「生産」とは、愚かな決定を生産することである。ここで紹介しているモデル、たとえば「権威モデル自立タイプ」は

生産 要求 追従 不在 反対
リーダー
エキスパート
素人

であらわされる。これは、リーダーがエキスパートに相談せずに物事を決め、素人は反対するものの、覆すことはできず愚かな決定が維持される場合である。

「玄人モデル承認タイプ」は

生産 要求 追従 不在 反対
リーダー
エキスパート
素人

とあらわされ、エキスパートの間違った判断をリーダーが鵜呑みにしてしまうような場合がこれにあたる。それぞれのモデルに対する補正の仕方についても論じている。

以下、個人的な感想。
間違いをなくすことはできないが、間違えたときどう対処するのかを考えることはできる。そのためには間違いを分類しておく必要があるのだろう。組織の意思決定の間違いを正すのは難しいけれど、そのためひとつのツールにはなる。ソースコードデバッグの考え方が、意思決定のデバッグ、社会システムのデバッグに適用できないだろうか・・・??