tkenichi の日記

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変わる世界、立ち遅れる日本

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変わる世界、立ち遅れる日本 (PHP新書)

変わる世界、立ち遅れる日本 (PHP新書)

連休中は忙しくて積み残してきたことの頭の整理に使う。これは世界金融危機以降の動きの概説。経済誌に掲載された論文を再編集したもの。ニュースなどで得られた断片的な知識の整理にちょうど良い。景気は変動するものだから、不景気の後には回復期がくる。それは予測にすら値しないが、どのように回復するかを予測する、またはどのように回復させるかを政策立案者に提言するのは、重要なことだろう。この本での大きなテーマは3つ。日本の戦略、世界金融システムの再構築、環境問題。

日本の戦略に関して、重要な主張の一つが、産業構造を製造業主体から知的サービス業主体に転換せよ、ということ。そもそも付加価値を生む活動において製造業とサービス業を比較することすら、無意味になりつつあるなかで、「モノづくり立国」として製造業の競争力を高めても、サービス業の生産性を上げなければ無意味である、という。

この意見には同意。ただし、知識サービス産業を成長させる方法が、規制緩和と言うのはホントかな?と言う印象。競争を促進するのと同時に、市場の失敗に対するケアがされていないとうまくいかないのでは?

その他、世界金融システム、環境問題については一般的な話が多いが、中国がグリーン化する可能性について論じているのは斬新な視点だった。環境問題は長期的に解決すればいいということと、中国政府にエネルギーの効率化へのモチベーションを与えれば資金と人材を投入するだろうということ。確かに楽観的な予測かもしれないが、これから経済成長するには石油依存よりもグリーンな方が経済的であるというようにすればいいのかも。先進国の役割は、単なる技術供与だけではなくて、これから発展する国々に対してそういうモチベーションを与える、ということでもあるのだな。