tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

柏木達彦の多忙な夏

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もうかれこれ20年ほど前にもなるが、著者の講義を受けたことがある。
小説と言うか、むしろその昔受けた講義が再現されるような、フィクションかノンフィクションかすら混乱してしまうような、そんな感覚。「ソフィーの世界」が西洋哲学のガイドブック的なものだとしたら、これは科学哲学に焦点を当てて掘り下げていくもの。

科学的に正しいとされていることを、人間はどうしてそれが正しいと信じるのか、という根源的な問いから、言語、解釈、論理などを見直していく作業を小説の中での主人公と学生との対話をなぞることで追体験できる。

20年前は数学基礎論的なことと結びつけて理解しようとしていたような気がする。今はコンピュータの画像認識や学習機能との関連を考えながら読んでいた。整合性があるように理解するということと、つじつまが合うように理論が構築されているということ。ソフトウェアはアーキテクチャとつじつまが合うように構築されて、レイヤーが積み重なっていく、とか。

こういう話が聞ける講義を「知識論」とするのはあまり好きではない。何か概論っぽい印象を受けてしまう。「科学史」という名前の講義から話がふくらんでいく方が好きだ。ああ、ポテトチップスクイタイナ。