ロボットとは何か
- 作者: 石黒浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/19
- メディア: 新書
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人間酷似型ロボットで有名な石黒先生自ら、研究内容を語る。ロボットの定義を追及するものでもなく、メカ的な実装方法を解説するものでもなく、人間型ロボットを研究することの意味づけをまとめたという趣旨のものだが、これが面白い。歴史的に見たり俯瞰的に見たりするのではなく、今現在同時進行形の研究について書かれているので、どのようなテーマと関わりあってくるのかとか(ロボットに演劇をさせることで得られる再発見)、ロボットに対する人間側の反応だとか、研究者が抱えるジレンマとか、そういう生のメッセージが読めるというのはすごく貴重だと思う。
私はどういう視点で読んでいたかというと、ロボットは人間と機械とのインターフェイスとして非常に可能性があるものだ、ということ。人間は人間同士の意思疎通能力を進化させてきたわけで、ちょっとした目の動きだとか、しぐさだとかで感情が表現されたりするわけだけど、機械相手にそういう対応することはあまり考えられない。人間に似たロボットに対する場合は、人間の方がそういう反応をすることによって、言葉にしにくかったり、ボタンを押すような決まりきった手順以外のことでも対応可能なインターフェイスになりうるのではないか、と想像を膨らませていたのでした。