tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

技術で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか

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イノベーションのジレンマはビジネスマンには既に常識かもしれないが、イノベーションを起こすにはどうすればいいのかを考えるのは難しい。そもそもイノベーションという言葉自体、人や立場で都合のいい意味で使われている傾向がある。この本はイノベーション論といってもいいと思う。ちょっとまとめてみよう。

イノベーションの定義

従来モデルを改善すること(インプルーブメント)はイノベーションではない。イノベーションとは従来モデルを駆逐して、新しいモデルを作ること。イノベーションを起こすことはプロダクトとして新しいモデルを作るだけでなく、周辺も含めて競争のルールをも変えてしまうこと。
例:レコードからCD

オープン化について

イノベーションを起こすには普及が不可欠。そのためには規格をオープンにすること、モジュール化することが必要。そのときにどの部分をクローズのまま残しておくかが重要。自前主義は既に時代遅れ。ただ闇雲なオープン主義は失敗する。オープン戦略で周りがそのモデルを強化してくような仕組みを作るべき。
例:インテルMPU普及戦略とPCIバス規格のオープン化

技術だけではイノベーションは起こせない

イノベーションは技術とビジネスモデルと知財の三位一体でなされる。研究開発段階での協業、製品開発と普及における分業をうまく使う。オープンとは技術や知財を公開することではなく、自由に参入できるようにすること。イノベーションのイニシアティブをとることが大事。
例:三菱化学が自社の素材に有利になるようにDVDの規格を標準化した

知財マネジメント

知財は特許取得業務だけではない。リバースエンジニアリングされない技術は特許で押さえる必要すらない。知財は交渉のためのツール。自分で事業化しなくても、他社にライセンスしたり、参入障壁として利用したりすることができる。クロスライセンスやパテントプールで技術の取引材料にすることができる。
例:日清食品が即席麺のジャンルを確立するために製法を他社に教えた

まとめ

イノベーション=インベンション×ディフュージョン