tkenichi の日記

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超マクロ展望世界経済の真実

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超マクロ展望 世界経済の真実 (集英社新書)

超マクロ展望 世界経済の真実 (集英社新書)

今回の金融危機が意味するところは何か?を求めてたどり着いたのがこの本。題名に超マクロとあるのが最初は何を意味しているのかわからなかったけど、読み終わった後だとよくわかる。以下は簡単なまとめ。


アメリカは中東からはほとんど原油を輸入していなかったのになぜイラクに軍事介入したのか?理由の一つ:イラクが原油の決済にユーロを使おうとしたので、ドルの基軸通貨としての地位が揺らいだから。


金融危機が表しているものは何か?長い目で見るとこれは景気変動からくるものではなく、ヘゲモニーの移転に伴うものである。過去の事例でみると、実物経済の拡大、利潤率の低下、金融化による資本の移転、投資された地域の実物経済の拡大がおこって、ヘゲモニーが移転する。具体的にはイタリアジェノヴァ、スペイン、オランダ、イギリス、アメリカの順に金融化(とバブル)がおこってヘゲモニーが移転してきた。ではアメリカの次はどこに移転するか?ヘゲモニーは空間革命と結びついている。すなわち新しい陸から海、空と支配するところを拡大することで、経済を拡大させてきた。しかしもう空間は拡大できない(宇宙に拡大しても新たな資源が得られる訳ではない)ので、ヘゲモニーは移転せず、かわりに資本と国家が分離して、現在の資本主義国家が引き続いて利潤をとり続ける可能性が高い。


利子率の低下とグローバル化はどう関係しているのか?400年前のイタリアジェノヴァでも金利が1.125%まで下がった。現代の日本でも金利が低いまま。これは金融緩和して好景気になれば金利が上げられるという景気の波の中で理解すべきではなくて、構造的に資本のリターンがあがらなくなったと理解すべきである。400年前は封建領主が集まって国家を作り、大航海時代に乗り出していった。現在もしかり。国家間連合を作って、グローバル化していくのが必然。


もうインフレは起こせない。人口減少時代、モノ余り時代には国内需要を喚起するのは難しく、グローバル化している世界の中で金融緩和を行っても、資本は国内に留まらずに国外に出てしまうだけだ。それが日本がデフレから脱却できない理由の一つ。経済成長を前提としないシステムに作り直す必要がある。