ダメな議論
- 作者: 飯田泰之
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/11
- メディア: 新書
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かなり評判のよい本らしいので読んでみたが、確かにそのとおり。5年前の本なのでいまさらなのだが、個人的には今年今まで読んだ本では一番。本書のポイントは、何が正しい議論かを見向く技術を具体的に説明していること。様々なメディアから多くの情報があふれていて、正しいかどうかを判断する情報リテラシーが大事だとはよく言われるが、では実際にどのように判断すべきか。すでに学校を卒業してそのような教育を受けていない人はもちろん、これから学ぶ人、教える人にとっても示唆に富む。ダメな議論にだまされないようにというのも大事だけれど、無意識のうちにダメな議論をしないようにするというのも大事。自省しよう。
覚えておくべきことは、次の5つのチェックポイント
- 定義の誤解・失敗はないか
- 無内容または反証不可能な言説
- 難解な理論の不安定な結論
- 単純なデータ観察で否定されないか
- 比喩と例え話に支えられた主張
あくまでもこのチェックをクリアしている議論が正しい結論を導き出しているというわけではないが、考える価値があるかどうかのスクリーニングには役に立つ。なんとなく作られてしまう常識に反論するための道具としても有効。
単なるチェックポイントを挙げるだけでなく、近年の社会問題に関する議論を俎上にのせて、どこがダメなのかを具体的に解き明かしてくれるのは圧巻。「ヤバい経済学」や「反社会学講座」の内容を、議論の方法に焦点を当てて掘り下げたようなもの。おすすめです。