眠りにつく太陽
- 作者: 桜井邦朋
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2010/10/01
- メディア: 新書
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著者は太陽物理学の分野では有名な人。こういう題名の書物をこの時期に出すことは、とても勇気がいることだし、本文中にも述べているように、確実なこととは言い切れない、外れるかもしれないことを、あえて一般向けの書物に書くのは、科学者としてとても大きな決断だと思う。
二酸化炭素が地球温暖化の原因かどうかについてよりも、太陽の活動が今後低下して地球が寒冷化する可能性があることを論じている。太陽活動が地球の気候にどのような影響を与えてきたのか、太陽活動を測るための指標、その実際の測定結果と今後の予測、と言った内容を、大学教養の集中講義のような感じで説明してあってロジカルにわかりやすい。太陽活動と気候との因果関係は、光エネルギーの変動といった単純なものではなく、太陽起源の磁場の変動による大気中に侵入してくる宇宙線の量が関係している、というのがこの本の主張である。
とは言え、正直一読者としては、何を信じるかを判断するのはとても難しい。ただし寒冷化する可能性があるということは、人類全体の意思決定において、考慮しておくべきことだと思う。