tkenichi の日記

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デフレの正体

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デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

話題の本を今さらながら読んでみました。確かに絶賛する人が多いのも頷けます。なぜか。経済というものを理解する上では、お金の動きを見て景気が悪くなったよくなったという議論をしているが、実感としては景気以前の根本的なところに原因があるような気がしてくる。そのもやもやした根本的なところとは何かを解き明かしてくれるのが本書である。答えは、「人口の波」ということ。すなわち、生産年齢人口の大きな波がやってきたときに高度成長期がやってきて、団塊の世代がお金を使う時期になったときにバブル景気がやってきて、引退の時期になったときに長期の消費縮小が起こっている、ということ。

それ以外にも誤解されている事実を、統計データ証拠を挙げながら説明している。例えば、国際的には日本は経済勝者であること、都心部も消費は不振であること、サービス業がもっとも付加価値率が高いこと、など。データリテラシーの練習としてもよい本だと思う。

原因は分析できたとしても、解決方法を考えるのはそれ以上に難しい。高齢化社会の対策として、高齢富裕層から若者への所得移転というのが挙げられているが、経済政策として効果があるのはわかっていても、実際には意思決定者は高齢者自身だったり、選挙など高齢者の意向が意思決定に大きく左右することが多く、そのような行動を社会として取れるかどうか、が問題なのではないかとも思うのでした。

とはいっても、人口問題と経済問題の関係について、現状分析と問題提起が非常にわかりやすくまとまっている本。ぜひともおすすめ。