リーマン計量の差の変分2
前回の続き。まずは記号の定義。
をリーマン多様体、をコンパクト多様体からのはめ込みとする。はめ込みで誘導されるリーマン計量をとする。に定義されるLevi-Civita接続は、以下を満たす接ベクトル束の接続である。をによる共変微分という。
のリーマン計量から、上のの接ベクトル束はに接する方向と直交方向に分解できる。として、この成分への分解をのように書く。
上の接ベクトルを上の接ベクトルとみなして、共変微分したもののに接する成分はのLevi-Civita接続を与える。
直交成分は第2基本形式を与える。
平均曲率ベクトルは第2基本形式のトレースである。
の直交方向の変分を考え、変分パラメータによる変分ベクトル場をとする。は上のの切断とみなせる。このとき、のベクトル場に対して、および、に注意する。変分に沿ってをの近傍で定義されたのベクトル場とする。このとき、上で次の式が成り立つ。
一般の線形代数の話で、正方行列に値を持つ関数を考える。このとき、 に注意する。
すなわち、「はめ込まれた多様体の面積の法線方向の第1変分は平均曲率である」ことがわかった。*1
*1:局所座標表示を使わずに示せた