tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

意識とは何か

意識とは何か―科学の新たな挑戦 (岩波科学ライブラリー (36))

意識とは何か―科学の新たな挑戦 (岩波科学ライブラリー (36))


初版1996年の本なので、内容的には古くなっているところもあるかもしれないが、
脳と心の問題を、生物科学および認知科学的アプローチによって、
現在わかっていることを整理し、今後取り組むべき問題点を提起している。

意識の定義

まずはじめに意識をはたらきや現象として定義し、「覚醒」「アウェアネス」「リカーシブな意識」の3つに分類している。リカーシブな意識とは、自己を認識する意識のことで、いわばメタな情報処理能力のこと。これが人間の社会的な性質に大きな影響を持っている。

意識という情報処理系の問題

局在問題とは、意識を脳の部位にマッピングできるかという問題。並列性問題とは、意識の流れが直列処理か、並列処理かに関する問題。バインディング問題とは、意識生成における情報(視覚情報と聴覚情報など)がどのように統合するかという問題。ワーキングメモリ(短期記憶)がバインディングにおいて重要な役割を果たしていることなど、面白い。


今、私が学生だったら意識の問題をきっと専攻したいと思う。ラマチャンドランや茂木さんの本がエピソード中心なのに対して、これは問題提起や背景説明が主なので、ある意味教科書的だが、知識の整理には役に立つ。