tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

ゲーム理論の世界

ゲーム理論の世界

ゲーム理論の世界

日本のゲーム理論研究の先駆けともいえる著者がエッセイ風にゲーム理論を紹介した本。教科書的な本とは違うので、きちんと勉強したい人や用語や定義を確認した人には不向き。ゲーム理論の授業を聞いた学部生が分野全体や歴史的な経緯を概観したい時にはよい本だと思う。

そういうサーベイだと思って読むと結構面白い。ゲーム理論の自体本格的に始まったのは戦後のフォン・ノイマンとモルゲンシュテルンの理論からだから、せいぜい60年程度なわけで、一人の著者が理論の始まりから現在の状況まで語れるわけである。洋書が手に入りづらい時期の苦労話や、学問としての分野が発展していく過程や、他の分野との関係、理論に突きつけられた課題をどのように克服していくか、今後の展望など、自ら研究者として体験してきた人の話なので、興味深く読めたのでした。

フォン・ノイマン/モルゲンシュテルンの理論だけはちょっと詳しく説明してあるけど、あとは用語なども既知として話が進むので、初心者は要注意。年代記と参考文献は役に立ちます。