まっとうな経済学
- 作者: ティム・ハーフォード,遠藤真美
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2006/09/14
- メディア: 単行本
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間があいてしまいましたが、久しぶりに書評を。
邦題は「ヤバい」に対抗してつけたものだと思うけど、こちらは経済学の教科書的な内容に近い。そういう意味では常識的な分析なのだけれど、題材は面白いので授業の副読本によさそう。
簡単に内容を紹介すると、
・限界費用と農地の価格
・価格シグナルとカプチーノ
・外部性と交通渋滞
・情報の非対称性と医療保険
・ランダムウォーク理論とアマゾンの株価
・ゲーム理論とオークション
・比較優位性とデュベルのビール
など。これだけでどんな話か想像できる人はこの本を読まなくてもいいと思う。
個人的に興味を持ったのは、オークションの設計の話。ゲーム理論をもとに心理学等も考慮して設計されなければならないし、入札の結果からその設計が成功したのかの評価も明らかであるところ、参加者は常にシステムを出し抜こうとするので、最終的な解はないところなど、非常に興味深い。この本の中では、ヴィクレイ型のオークションの失敗例と、イギリスの電波免許入札の成功例が紹介されている。
コーヒーを飲みながら覆面経済学者として世の中を見る訓練が、少しはできたかな。