素人のように考え、玄人として実行する
- 作者: 金出武雄
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2003/06
- メディア: 単行本
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最近は知識を固める方向の本ばかり読んでいたので、たまにはこういう頭を柔らかくする本を読んで、脳をほぐそう。
著者はロボット工学の第一人者。発想法や問題解決、表現方法についての著者の経験に基づいたノウハウをエッセイ風に書いたもの。ビジネスマン向けというよりも研究者向けだろう。ただ理系のエンジニアなら参考になるところも多いのではないかな。
一般に論文や本、学会発表では、結果を整理した形で述べられているけれど、素となっているアイデアは単純であり、幼稚である、ということ。専門馬鹿という言葉があるように、一度専門家になってしまうと、なかなか単純な発想が出来なくなってしまうのかもしれないが、優秀な人はその切り替えが上手い人なんでしょうね。
この本ではそういう発想をするためにいくつか逆説的なことも言っている。
- 「創造は省略から始まる」トリビアルにならないぎりぎりまで単純化せよ
- 「構想力とは、問題を限定する能力」役に立つ研究は小さい領域だが焦点が定まっている
- アイデアは人に話して発展する
- 独創はひらめかない
個人的に共感したのは
- 集中力とは、自分が問題そのものになること
- ものの命名はたとえである
の2点。
学生のころに、解けない問題は1ヶ月考え続けろ、とよく言われたものだが、そういう経験を経て解けたときに覚える感覚が前者。要するにチャンク化するってことなんだろうけど。今のトレンドは外部記憶装置をうまく使うという面が強調されがち。自分と一体化するという方法は訓練しないと出来ないけれど、身につけておいたほうがいいと思う。
後者は特に自分でシステムを設計したり、新しいものを作ったときの名前の付け方(特にオブジェクト思考でクラスに名前をつけるときとか)として、腑に落ちた説明だった。