tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

人工現実感の世界

人工現実感の世界

人工現実感の世界

1991年の本だから、今から14年も前。いまさらこんな本を読んでも、という感もないではないが、この当時からどれだけ技術が進んだかを確認するために、また過去のものとして語られることすらある人工現実感についての展望を考えるために、頁を開いた。

第1章は立体映像と3Dインターフェースでどのように人工現実感が形成されるかを初期の研究者の業績とともに紹介。サザランド氏のHMD,ハイリグ氏のセンソラマ、テレロボティクス、ゼルツァー氏のボリオなど。

第2章はアメリカ及び日本の人工現実感の研究の紹介。3Dインターフェースの開発が主である。大部分が今では展示会などでよく見かける技術になっているが、空圧による仮想触覚や、バーチャルサンドペーパーなどは日本ではあまり見ないけど、面白そう。

第3章は製品紹介。データグローブやハンドマスターなど、手からの入力装置に関するものが多い。第4章がこれからの展望。といっても14年前の展望なので、現在は実現されていなくてはいけないが・・・・・。残念ながらこの分野でのできることとできないことの境界線は、この当時とあまり変化していないように思える。CPU速度や通信帯域の向上による性能の変化はあるが、本質的なところは、どうだろう。

ここで紹介されている研究者の近況を調べてみても、特にアメリカでは別の分野に移っている人が多い。とは言っても、この分野はまだ捨てたものではないと思うが、今ある道具で何ができるかという、上の層で考えなくてはいけないんだと思う。個人的にはまだこの本ではあまり紹介されていなかった、物理シミュレーション、光学シミュレーション、画像認識などの技術がどのように組み込まれるか、に注目し、期待したいな。