経済学ではこう考える
ベッカー教授の経済学ではこう考える―教育・結婚から税金・通貨問題まで
- 作者: ゲーリー・S.ベッカー,ギティ・N.ベッカー,Gary S. Becker,Guity Nashat Becker,鞍谷雅敏,岡田滋行
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1998/09
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 36回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
1992年ノーベル経済学賞を受賞したベッカー教授が「ビジネス・ウィーク」誌に連載したコラムをまとめたもの。コラム自体は古く、1980年、90年代のものだが、親ブッシュ、クリントン両政権下での経済政策への意見は、今から見れば正しい予測をしていると思わせるものが多い。
コラムは一つ一つが別のテーマだから、日記で取り上げるなら、ひとつのテーマに絞らないと紹介しにくいので、1995年の「所得の不均衡は悪いことばかりではない」と言うコラムを取り上げてみよう。
このコラムでは所得格差拡大と経済成長が互いに関連していること、選挙結果から考えてそれを有権者は理解していること、教育や訓練や経験への投資のリターンの結果として格差が広がることは悪いことではない、などと述べている。所得格差の拡大や高技能者に対する需要増加は、若い人に対する自己投資のインセンティブを高める効果があり、それが経済成長につながるとしている。そのために政府がすべき役割は、貧困家庭出身の若い人に高度の教育訓練を身につけさせることで、そのために授業料バウチャーを与えて、生徒獲得のための学校の間の競争を高めることで、教育の質を改善させることだとしている。
今の日本でも所得格差の拡大の悪い面ばかりを協調する傾向があるけど、10年以上前のベッカー教授の意見をどう考えればいいのかな?