統計学を拓いた異才たち
- 作者: デイヴィッドサルツブルグ,David S. Salsburg,竹内惠行,熊谷悦生
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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かなり前から話題になっていた本。やっと読了。統計学に関する29のエッセイ。内容はほぼ歴史的な順番になっていて、それぞれの章では主に人物にスポットが当てられているので、統計学の年代史として、また伝記ものとしても楽しめる。ただし数式はまったく出てこなくて、統計理論の具体的な説明や、解析の方法についての説明もほとんど出てこないので、そういうものを期待すると裏切られる。ただし読み物としては人物の面白いエピソードを多数紹介してあるので、裏切られ方としては悪くない方向だと思う。
取り上げられている主な人物は、フィッシャー、ピアソン、ゴセット、ネイマン、コルモゴロフ、コックス、チューキーなど統計学の教科書などではおなじみの名前。統計学者は数学者と比べると、実務的な才能に秀でた人かと思いきや、フィッシャーなどは教科書から得られる印象以上にアクの強い人物だし、コルモゴロフのようないわゆる天才タイプ、チューキーのようないわゆる多才タイプの人物もいて、ベルの有名な「数学を作った人びと」の統計学者版のような感じです。
確率の解釈、サンプルのとり方、測定値の扱い方、因果関係、などについての問題意識についても随所で言及されているが、本の性格上それほど深く掘り下げられているわけではないので、統計学の教科書の副読本ぐらいの位置づけで読むといいと思う。