数学を生み出す魔法のるつぼ

数学を生み出す魔法のるつぼ ―実験数学への招待 (Ｏ’Ｒｅｉｌｌｙ　ｍａｔｈ　ｓｅｒｉｅｓ)

計算能力の飛躍的な発展によって、数学の研究自体も変化していく。オイラーやリーマンの洞察の影には膨大な数値計算があったことは想像に難くないが、現代の我々はそれをコンピュータの上で手に入れることができる。Mathematica や Maple のような数式処理システムを使えば、次の段階に行くことができる！そのための道しるべになる本。ここでは計算機を使って、洞察を得るための計算をいろいろしてみることを実験数学と呼んでいる。

題材が数論や級数、積分計算などに偏っているのに注意。計算機を使って数学の実験をするときの精度に関する注意に１章割いているのは好感をもてる。個人的には４色問題など幾何の話題をもっと詳しく取り上げてほしかったし、組み合わせ問題の「実験」の仕方の例も挙げてほしかった。しかし、通常の数学の本とはまったく異なるこのアプローチは、特筆すべき。次世代の*1数学者には普通になっているだろうな。

*1:すでに現世代も？