tkenichi の日記

毒舌皮肉系恥さらし日記

エキゾチックな球面

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エキゾチックな球面 (ちくま学芸文庫)

エキゾチックな球面 (ちくま学芸文庫)

40年以上の前のもはや古典といえる内容なのだけれど、今読んでもわくわく感は失われていない。時代を代表する天才たちによって新しい理論が花開き、視界が開けてきたときの面白さが読んでいると伝わってくる。これが文庫で読めるというのはいい。

トポロジー、といってもいわゆる抽象的な代数的トポロジーというよりも、具体的な図形のイメージから説明されるもの。ハンドル体、モース理論、ファイバーバンドル、コボルディズム、組み合わせトポロジーなど。高次元や、切り貼りを頭の中でイメージしなければならないが、想像力が試される。ハンドル体はまさに切り貼りして図形を作っていくイメージ。ファイバーバンドルは低い次元の掛け算で表される図形を、掛け算を少しねじったように変形して高次元の図形をイメージするもの。コボルディズムは比較的図形でイメージしやすい幾何学的不変量。感覚をつかむにはとてもわかりやすい(私自身としては10年以上前の感覚を思い出させてくれた)本だった。

40年経って、ポアンカレ予想が解決された今、お話やトピックのつまみ食いではなく、この本のように実際に幾何学的対象をいじっているような感覚でポアンカレ予想を解説してくれる本があればなあ。