ウェーブレット入門
- 作者: B.B.ハバード,Barbara Barke Hubbard,山田道夫,西野操
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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数学についてはまったくの素人が書いたウェーブレットの本。いわゆる「数式があまり出てこない啓蒙書」の類である。と思ったら、かなりまともで本文中の記述も数学者の言葉を引用しながら(著者の夫が数学者らしい)かなり論理的に説明してある。補足の部分は数式がちょっと出てくるけど、理系の学部1,2年の知識があれば読める程度。紹介してある例も適切。道具として使いこなす前に、「ウェーブレットって何」という心理的な壁を越えるにはとてもいい本。昔読んだ志賀浩二先生の数学30講シリーズに近いかも。
内容はフーリエ解析の説明、窓付きフーリエ解析からモルレのウェーブレットの話、直行ウェーブレット変換、ドプシーのウェーブレットなど。応用ではフラクタル、雑音除去、情報圧縮など。実用的な「技術」ではなく、「お話」なのでハウツウを求める人は別の本の方がいいだろう。
私自身ウェーブレットに関してはずぶの素人で、技術的な専門書と併読していたのだが、全体の概観を得ることができ、いろいろな応用を知ることができたので非常に有意義であった。こういう数学の本の書き方もあるんだ、という意味でも勉強になりました。