愚かな決定を回避する方法
愚かな決定を回避する方法―何故リーダーの判断ミスは起きるのか (講談社プラスアルファ新書)
- 作者: クリスチャンモレル,Christian Morel,横山研二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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失敗に焦点当てている本は多い。アプローチとしては大体3つぐらい。失敗の原因を掘り下げていくもの、起こらないようにするにはどうするのかを考えるもの。もうひとつがどういう失敗があるのかを分類するもの。これは、意思決定のミス、特に組織におけるリーダーの判断ミスについて分類をしたもの。
最初はケースとして、航空機墜落事故、タンカーの衝突事故、チャレンジャー号の爆発事故などを挙げて、そのプロセスを概観する。途中に愚かな決定の分析があって、ここも面白いのだけれど、メモしておきたいのは第5章の集団分析である。
愚かな意思決定を分類するために、縦軸に組織の構成、横軸に愚かな結果に対する行動をとり、テーブルにして分類する。組織の構成は
- リーダー
- エキスパート
- 素人
からなり、行動は
- 生産
- 要求
- 追従
- 不在
- 反対
からなる。ここで言う「生産」とは、愚かな決定を生産することである。ここで紹介しているモデル、たとえば「権威モデル自立タイプ」は
生産 | 要求 | 追従 | 不在 | 反対 | |
○ | リーダー | ||||
○ | エキスパート | ||||
○ | 素人 |
であらわされる。これは、リーダーがエキスパートに相談せずに物事を決め、素人は反対するものの、覆すことはできず愚かな決定が維持される場合である。
「玄人モデル承認タイプ」は
生産 | 要求 | 追従 | 不在 | 反対 | |
○ | リーダー | ||||
○ | エキスパート | ||||
○ | 素人 |
とあらわされ、エキスパートの間違った判断をリーダーが鵜呑みにしてしまうような場合がこれにあたる。それぞれのモデルに対する補正の仕方についても論じている。
以下、個人的な感想。
間違いをなくすことはできないが、間違えたときどう対処するのかを考えることはできる。そのためには間違いを分類しておく必要があるのだろう。組織の意思決定の間違いを正すのは難しいけれど、そのためひとつのツールにはなる。ソースコードのデバッグの考え方が、意思決定のデバッグ、社会システムのデバッグに適用できないだろうか・・・??