ピアニストの脳を科学する
- 作者: 古屋晋一
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2012/01/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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人間が記憶する能力は言語化によるところが大きいのだと思っていました。しかし、音楽家は暗譜しています。それは楽譜をそのまま覚えるのではない。音楽家がどのように脳を使っているかの研究結果によると、暗譜は視覚野の神経回路を活用しているそうで、かつ、楽譜の情報を圧縮して記憶しているそうです。
また、ピアニストが俗に指に覚えさせる、と言いますが、実際にはピアノを弾くために脳を進化させるのだそうです。たとえば、音楽を聴いただけで指を動かすための神経細胞が活動するとのことです。ピアノの先生が言う脱力する、という意味も鍵盤を叩くのに重力や慣性力をうまく利用してるということもわかってきているそうです。
ピアノ演奏の技術を、医学と工学の立場から解明しようとしていて、たくさんの驚きがある本。今まで芸術家の感覚としてしか説明できなかったことを、科学的に説明しようとする大胆な試み。面白かった。