人は見た目が9割
- 作者: 竹内一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 新書
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なかなか刺激的なタイトル。容姿をみがいてモデルを目指そう、という本ではなく、ノンバーバルコミュニケーションについての本。題名は心理学者マレービアン博士の研究成果で、人が他人から受け取る情報の中で話す言葉の内容が占める割合が7%でしかないところからつけられている。
仕種や表情から人は多くの情報を得ているんだということを様々な例から説明している。たとえば、まばたきは不安や緊張を、足を大きく開くのは、自分を大きく見せたい欲望を、上着を脱ぐのは緊張が解けたことを表すサインである、など。
著者はマンガの原作者や舞台の演出家でもある。マンガや演劇におけるノンバーバルコミュニケーションの「記号」をいくつか説明している。これがなかなか面白い。観客としては無意識のうちに感じていたものを、作り手の側から種明しをしてくれる感じ。漫画における構図、背景の効果、舞台における視線、間、距離のとり方によって表現しようとする情報など。歌舞伎や能などはこの様な記号を知っていないと楽しめないというが、日本古来のノンバーバルコミュニケーションの方法を伝える場でもあったのだろうか。
服装、マナー、表情などで、人の受け取る印象はずいぶん変わる、というのはこういうものをないがしろにしがちな若者へ向けての著者のメッセージなのだろうが、ちょっと耳が痛い部分もあるなあ。