ポアンカレ予想を解いた数学者
- 作者: ドナル・オシア,糸川洋
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 単行本
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ペレルマンに焦点を当てた話かと思いきや、ユークリッドから現代まで続く幾何学の流れを追った壮大な話。こういう本は歴史的な話や、人間ドラマ的な話が中心になりがちだが、これはかなり数学的にも踏み込んで記述している。地球の形が球形であることを示すのにかなりの紙面を割き、曲面の分類や双曲幾何についても、詳しく書いている。デーン手術やサーストンの幾何化予想、リッチフローなど専門的な話も出てくるけど、これらは少なくとも学部以上の数学の専門教育を受けていないと意味を理解するのは難しいかな。ガウスやポアンカレについてのエピソードも豊富だけれど、ペレルマンについてはそれほどでもないので、それを期待した人には物足りないかな。
数学好きの人には楽しめる。ほとんど一気に読んだ。
双曲空間に関するポアンカレ自身の解説
・・・温度は球の中心でもっとも高く、球の表面に近づくにつれて下がる。球の表面の温度は絶対零度である。この温度は次の法則に従って変化する。Rを球の半径とし、rを中心から点までの距離とすれば、点の絶対温度は R^2 - r^2 に比例する。さらに、この世界では、すべての物体が同じ膨張係数を持っており、すべての物体の線形膨張が物体の絶対温度に比例するものとする。・・・・
(P192)
は、上手い説明だと感動してしまった。