非線形科学
- 作者: 蔵本由紀
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 64回
- この商品を含むブログ (67件) を見る
ストロガッツの SYNC を読んだのが3年前だが、その訳者でもあり、この分野の日本における第一人者でもある蔵本先生の新書による解説本。数式を使わずに説明した本だけれども,非線形科学の魅力を言葉で十分に伝えていると思う。カオス、散逸力学、BZ反応、SYNC の主テーマであったリズム、そしてちょっとだけネットワーク理論も。
線形的な世界観だと、複雑なものは分割していけば単純になるという発想があると思うし、それによって成功している分野はたくさんある。だが、
「現象の複雑さを、ただちに多くの要因がからむことによる複雑さと考えてはならない」(P189)
と述べているように、単純なモデルからも複雑な現象が生じうるのだということが、非線形科学の面白いところだろう。ローレンツカオスしかり、複雑ネットワークしかり。
個人的には学生のときに挫折したルネ・トムの「構造安定性と形態形成」に再挑戦したくなったのでした。