巨人の肩に乗って
- 作者: メルヴィンブラッグ,長谷川真理子,Melvyn Bragg,熊谷千寿
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
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Sorry... で論文を検索しようとすると「巨人の肩の上に立つ」というメッセージが目に留まる。この言葉はニュートンのものとして有名だが、それを題名とする科学史の本。とはいえ科学史としては異端な構成である。史実を丹念に調査したものではなく、歴史上の有名な科学者について現代の科学者に行ったインタビューをまとめたもの。伝記作家の目線ではなくて、現代の科学者の目線で語られるのは面白い。
伝記で取り上げられる有名なエピソード、例えばアルキメデスと風呂、ガリレオとピサの斜塔、ニュートンとりんご、などのことは現代の科学者はあまり関心がない。また、特定の偉人が存在しなかったら科学は発展していなかったとも考えていない。時代的に遅れることはあっても同様のことはそのうち誰かが発見するだろうと考えている。ある分野の科学の発展に、時代背景や他の分野の発展が大きく影響していると認識していることも面白い。例えばラボアジェが化学に関する発見をしたのは、実験機器が規格化されたのことも大きな要因と考えられるそうだ。
近代以降の数学者として唯一ポアンカレが取り上げられているのはうれしいのだが、カオスの発見者という取り上げ方には不満だなあ。
12人の科学者がそれぞれ独立した章で取り上げられているので、気軽に読めます。